おもしろ居酒屋がおもしろい
昨今のコンセプトを持たせた居酒屋が興味深いのは、よくこんなところに目を付けて、これを居酒屋のコンセプトにしようと思ったなあと感心する店が多くあることです。
2014年に横浜で一年間限定でオープンした居酒屋のコンセプトは、ずばり怪獣でした。
いつの時代も少年たちにとって、悪の象徴であるさまざまな怪獣たちをヒーローがやっつけるというのは、テレビの前でワクワクしながら始まるのを待ってしまうテレビ番組です。
近年はこの番組からイケメン俳優が生まれるというのもよく知られていることから、ママ世代の女性たちの注目が高いのも特徴ですが、そんな怪獣が夜な夜な集うというのがこの怪獣酒場でした。
昭和40年代以前のリアルタイムで見ていた人たちには懐かしく、それ以降に知った若い世代なら、レトロなおもしろさがあったのが特徴といえます。
1年間限定で開かれていた居酒屋でしたが、大反響でどうしても復活してほしいという要望が多数寄せられたことから、帰ってきた怪獣たちの居酒屋というコンセプトによって、再びオープンしたと言いますから、すごい人気です。
コンセプトのおもしろさが秀逸
これが、もしヒーローの揃った居酒屋であったとしても、おそらくきっと人気が出たと思われます。
やはり最後はヒーローが勝ってこそだよねという意見に、うなずく人も多いと思われるからです。
ただ、居酒屋のコンセプトとして怪獣を取り上げたのが、いつもヒーローにやっつけられっぱなしの怪獣たちが、夜な夜な憂さ晴らしをしている場所が居酒屋というのは、現代人にとっては怪獣の気持ちにものすごく共感できたのではないでしょうか。
そのため、憂さ晴らしをしている怪獣たちを見てみたいという気持ちになったのも無理はないことから、目付け所が実に秀逸だったと言えます。
意外な結果が判明
少年たちのヒーローものである番組に登場する怪獣たちですから、男性客が圧倒的に多いだろうと思いきや、何と来店客数の7割が女性だったというのが、いったんは閉店したものの、怪獣たちが帰ってくることになった大きな理由かもしれません。
女性にとっては強い男は当たり前、それよりもやっつけられっぱなしの怪獣たちの憂さ晴らしというところに、リアルタイムで見ていた世代はより強く共感を感じたように思えます。
メニューには怪獣を思わせるアクセントが添えられていて、これがまたおもしろいところも、女性のハートをわしづかみにした理由かもしれません。